もう1ヶ月ほど前にはなってしまうが、2019年の11月に行われた関西教育フォーラム(こちら)に参加した。
内容としては、showroom社長の前田裕二さん、陰山英男先生、鈴木寛先生による講演や対談。
これからの時代のキャリアの方向性を考えていく上で興味深い話がいくつかあったので、今更ではあるが簡単に記事にして振り返っていこうと思う。
「優れる」ではなく「異なる」
この話が今回のフォーラムの中心の話だろう。
ある分野での「優れる」レースで勝てないときに、いかに「異なる」のかという点で勝負するのかという話だ。
(フォーラム中では言及がなかったが、もちろん「優れる」レースで勝つ人間も世の中には存在する。)
例として挙げられていたのは学力。
大学に入って周囲の学力に圧倒された前田さんは、その人たちと同じ土俵で戦っても勝てないだろうなという感じたそう。
それで、自分の50個以上のバイトの経験という「異なる」部分を活かしたキャリアの形成の仕方を考えたそうだ。
このような、自分の状態を見つめ直し「異なる」ことを目指すことで成功を掴むこともできるというのがこの話だ。
軸を意識する
前田さんがおっしゃっていたのは、異なるときにおいて大切なのは、「軸を意識する」こと。
自分はどの分野にいて、何を軸にして、どこが異なるのかが大切だという話である。
例としてゴールデンボンバーの話を挙げており、ゴールデンボンバーは音楽という分野の中で、パフォーマンス面での異なることを意識して売れたとのことだ。
また、前田さんが「キャリアアンカー理論」について途中で触れたが、その内容も自分のキャリアにおいて軸となる部分を決めなきゃいけないという内容だった。
このように、軸を決めたうえでどういう戦略でキャリアを築くのかという点には講演中に何度も触れられていた。
関連記事:キャリアアンカーの「8つの分類」とは?診断方法や企業での活用方法
発信者になるコストが低い時代
今はYouTubeやshowroom、ブログなど発信者になるコストが非常に低くなっているという前田さんがおっしゃっていたが、これは現代社会の現象を考察する上で欠かせない視点の1つであるように感じた。
発信者になるコストが下がることで、人の多様性が浮き彫りになっていく。
その分、多様性の違いも浮き彫りになっていくということだ。
途中で前田さんが「個性がないと感じている人にとっては生きづらい時代」と述べていた。フォーラム中にはこれ以上深掘りされることはなかったが、これこそが現代的にキャリア教育を考えるときの一番の肝になる部分なのではないかと思う。
つまり、才能に乏しいのではないのかという没個性的な考えを持つ人がどうすればいいのかという問いだ。
この問いに関する自分の考えは「能力を歯車に例えて考える」というものなのだが、これは後日改めて記事にしようと思うので、少々お待ち願いたい。
総評
土壌が基礎、幹がコア、「異なる」が枝葉や花
今回のフォーラムの話をまとめると、『土壌が基礎、幹がコア、「異なる」が枝葉や花』ということだと思う。
まず集中力や読み書きそろばんなどの基本的な能力、すなわち土壌となる基礎を育てることが必要である。
その次に、どこの分野で生きるのか、自分の軸になる部分をとなる幹の部分を決める。
最後に、その分野の中で、どのような姿を目指すのか、枝葉や花の装飾の状態を仕方を考える。
これら一連の流れによって、その人独自のキャリアを形成できる。
この考え方は生き方を考えるという意味で非常に重要であるように思う。
最後に
全体として、人が個別化していき「異なる」ことを求められる現代社会において、どのように働くのかという点に焦点を当てたフォーラムだった。
今回のフォーラムの全ての内容が的を射ているかどうかという点については疑問が残るものの、よい問いを投げかけたのではないではないかと思う。
個人的には、「異なること」を意識しているにも関わらず、似たような内容のことを言う人が多いのは逆説的で興味深いなと思っているが、その話はまた別の機会にしよう。
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